#16 SEから区役所職員、そしてマーケ会社経営へ|自分の性質に向き合いつづける
- careermentorjapan
- 4月19日
- 読了時間: 6分
更新日:4月20日

大塚 達磨さん プロフィール
新潟大学経済学部卒業後、IT会社へ新卒入社と同時に上京。インフラエンジニアとして勤務。その後公務員試験に合格し、東京都港区役所勤務。その後フリーランスエンジニアとしての活動を経て、現職のwebマーケティング会社経営に至る。
勉強し、次のキャリアステップを手に入れ、考えてはまた次のステップへと前進を続ける大塚さん。今の働き方に至るまで、多くの苦労もされてきたこれまでの経験について、お話を伺いました。
ーまず、最初のシステムエンジニアのお仕事について、教えて頂けますか。
IT企業に入社し、研修後にインフラエンジニアの部署に配属となり、システムエンジニアとしてキャリアがスタートしました。サーバーの保守・運用などをする仕事です。旧体質な会社で、自分には合わない環境でした。その結果、1年半で退職するに至りました。
ー次のステップとして公務員試験にチャレンジされます。その意思決定の背景や過程についてお伺いできますか。
公務員に興味を持った背景としては、まず、1社目在職中に省庁のシステムを担当し、仕事で職員とやりとりした経験があったこと、そして兄が公務員ということもあり、公務員が身近な存在としてあったのが大きいと思います。当時はもうこの先転職したくないという思いが強かったため、終身雇用が根強く、試験に合格し一度その世界に入れば、ずっと続けられそうなイメージの公務員に決めました。
大学受験時、進学校とはいえない高校から国立大学に合格した成功体験もあり、勉強も一人で黙々と作業することも好きだったので、勉強面での不安はあまりありませんでした。予備校で出会った仲間の影響も大きく、同じように民間企業から公務員への転職を目指す方が周りにいたことも心の支えになっていました。
複数の志望先を併願し、選考を進め、最終的には都内の区役所へ入職を決めました。
ー念願叶っての区役所勤務はいかがでしたか。
同期の中では数少ないIT人材だったこともあり、IT推進の部署へ配属となりました。仕事内容は、区役所内で使うシステムの改善でした。役所窓口の要望を汲みながらベンダーへの依頼を調整する役割です。人間関係は良好、残業も少ないほうで、有難い職場だったと思います。一方で、ここでは仕事内容が自分に合わないという気づきがありました。私は自分の考えやアイデアを生かすことが好きで、トップダウンで決められたことをこなす、ということは向いていませんでした。自分がやることに対して納得ができないと手を動かせないのです。周りの人たちは業務範囲内で工夫するのが上手な方が多く、生き生きと働いていて、それと自分のギャップを感じ、取り残されているような辛い思いでした。
今思えば、SEから公務員に転職した当時は、自分のキャリアについてそこまで深く考えられていなかったと思います。そもそも仕事が「合う・合わない」という概念がありませんでした。一般的に言われる「良い職場」が存在し、そこに入ればある程度仕事ができ、幸せな生活が送れるだろう、くらいの考えだったのかなと思います。

―フリーランスエンジニアとして、独立された過程について教えてください。
区役所での仕事が合わないと感じていたことから、フリーランスエンジニアとして独立してみようと決め、業務時間外でエンジニアとしての勉強を再開しました。当初は独学で始めましたが、より体系的に学びたいと思いオンラインスクールを利用しました。
フリーランスエンジニアを選んだ動機としては、2社経験してきて自分が繊細なんだと気づいたからです。一般的な会社員のような、オフィスで多くの人と関わりながら働いていく、という働き方だと僕自身は本領発揮ができないと思いました。黙々と作業することも好きだったので、一人で働く環境に挑戦しようと思い決めました。
スクールを修了し、区役所を退職し、晴れてフリーランスとなりました。最初は、web制作会社からの下請け業務からスタートしました。下請けだと、自分がつくったものが使われる様子を知ることができないため、公務員時代の仕事と同様に見える範囲が狭く、自分の意見が求められていない感覚がありました。顧客と直接触れ合って、自分の制作したものがより役に立つようにしたいと思い、クライアントと直接契約を目指すことにしました。
―そしてその後、法人化されます。その経緯についてもお伺いできますか。
クライアントとの直接契約を目指し、交流会に参加したりなど営業活動を始めました。そうしているうちに、フリーランスであることが商談の足枷になっていると感じ法人化を決めました。
また提供しているサービスとしては、サイト制作に加え、お客様のビジネスにより直接的に貢献するために幅広いマーケティング支援を行うようになりました。戦略立案から集客チャネルを構築して効果を改善するところまで、すべて自社で完結できることが強みです。
―これまでのキャリアで満足していること、まだ満足していないことがあれば、教えて頂けますか。
自分に合う働き方が理解できるようになり、それが実現できていることは満足です。今はPC一つでどこでも働ける仕事ということもあり、福岡に移住しました。人と関わりすぎると疲れてしまう性質ですが、今は自分の意志でコントロールできるので、営業活動なども無理をしない範囲で行えています。
今後については「組織化」が課題だと思っています。今は一人の会社ですが、固定の業務委託メンバー11名に協力してもらっています。案件も増えてきた中で、充実していて有難いことですが、どう拡大していくかを考えないといけないところに差し掛かっており整備することがたくさんあります。

ー今の仕事に満足せず悩んでいる方に、メッセージがあればお願いします
僕自身民間企業、公務員、フリーランス、経営者といろいろな働き方をしてきて思うのは、必ず自分に合う働き方はあるということ。今思えば、僕が仕事ができないポンコツ公務員だったのは、スキルが低かったからではなくて(それもあるかもしれないけど)、僕の性質と環境が合っていなかったからだと思っています。
人それぞれ得意なこと、合う環境は違うはず。
それぞれが得意な場所で働けば、きっと楽しいし、いきいき働けると思うんです。その場所を見つけるためには、少し時間はかかるかもしれないけど、動き続けたらきっと見つけることができます。もし今の仕事に違和感を感じているのだとしたら、そこは自分の最適な場所ではないのかもしれません。
自分に合う仕事・働き方を見つけるために、まずは一歩踏み出して、ぜひお話しましょう。微力ながらお手伝いができたら幸いです。