top of page

#6 ITエンジニアから心理カウンセラーへ|長期を見つめ重ねる努力

  • 執筆者の写真: careermentorjapan
    careermentorjapan
  • 2月11日
  • 読了時間: 6分

更新日:4月20日


 

鈴木 詩織さん プロフィール

 2016年に大学卒業後、ITエンジニアとして新卒就職。その後、臨床心理学を学ぶため大学院進学を決意し、働きながら受験勉強をする。晴れて希望の大学院に合格。パートナーの海外駐在帯同のために休学するなどキャリアブレイクも経て、無事卒業。現在は長年の志であった心理カウンセラーとして活躍中。


 同期と比較しての焦りや、予定外のキャリアブレイクなど悔しい思いも多くされてきた鈴木さん。それでも静かに、長期を見つめ努力を重ねてこられた経験について、教えて頂きました。

 

従来の興味と実体験の交差点が次のキャリアに

まず、新卒でのITエンジニアとしてのお仕事と、大学院進学を決意された背景について教えて頂けますか。

 新卒でITエンジニアとして就職しましたが、業務内容や職場環境が自分に合わず、違和感を感じていました。もともと学生時代は外国語学部で言語や文化を学んでいて、国連や国際NGOへの憧れがあったのですが、自信がなくとりあえず就職を選んだ、という経緯がありました。そんな中、自らのストレス対処スキル不足や考え方のクセもあって、体調を崩して休職に至ってしまいました。

 休職中に出会った数々の心理学の本と、通院先のマインドフルネス瞑想プログラムが転機となりました。自分が心から興味を持ち、それでいて自分の実体験を活かせる臨床心理士を目指すことを決め、そのまま退職を選びました。修士号取得は、もともと興味のあった国際支援の業界と、臨床心理士資格の取得のどちらにも必須条件だという共通点も大きな後押しになりました。


ー社会人受験は大変だと思いますが、大学院選定、勉強方法、お仕事との両立についてなど、ご経験について教えて頂けますか。

 大学院選びでは、自分が学びたいトラウマ治療の分野がしっかりとカバーされていることを重視しました。退職とともにパートナーともお別れし、なんの制限もない状況だったので、全国各地のトラウマ治療の教授を調べました。この分野なら、憧れていた国際支援の現場でも活躍できるのでは、と思っての選択です。退職後約10か月間、あの手この手でほぼ独学で受験勉強をしていました。個人経営の予備校の通信、近所の大学図書館の一般利用、国会図書館、知り合いのツテで志望校の修士学生に研究計画を見てもらうなど…。全く学んだことのない統計学や、学際的で全体像が見えづらい臨床心理学、専門用語の多い英語など、苦戦しつつも楽しんでいました。

 実家に籠って勉強していたところ、前職の先輩が、仕事辞めてヒマなら気分転換にうちの会社でバイトしてよ、と声をかけてくれました。ランチをごちそうになりオフィス見学をした流れで、いつのまにか巻き込まれての採用の仕事でしたが、のちに私の立派なキャリアの一つとなります。まだ業務委託のメンバーが数名しかいない会社だったので、自分で勤務時間も自由に決められてリモートOK、というスーパーフレキシブルな環境で勉強とも両立できました。


予定外の出来事も、キャリアに向き合い続ける

―努力が叶い晴れて合格!大学院へ進学されてからの生活についてお伺いしたいです。

 晴れて希望の分野に強みのある大学院に合格しましたが、コロナ禍や夫の海外駐在への帯同など、予定外の出来事も多く、2年間の休学を余儀なくされました。このキャリアブレイク期間はとても悔しかったし、本当に復学できるか不安でいっぱいでした。しかしこの間に何かできることはないかと考え、渡航前は親戚の家に居候し子育てを手伝いつつ、保育士資格を取得しました。また、渡航してからは大学院も仕事もない、となると手持ち無沙汰だったので、前職の先輩にフルリモートで仕事を再開させてもらいました。人事・総務や広報など、バックオフィスを1人で切り盛りするという経験を得ました。帰国後は無事、大学院に復学し、苦戦しながらも修了することができました。


日々のカウンセリングで参照している書籍
日々のカウンセリングで参照している書籍

―ITエンジニアから心理カウンセラーへ。大きなキャリアチェンジですが、今は満足されていますか?

 心理カウンセラーとして働く今、仕事内容には満足しています。大学院進学を決めてから約5年が経過してからの就職だったので、実際にカウンセリングをしてお金を稼げていることが嬉しいです。ただ、臨床心理士資格を取得しても10年弱は見習い期間で、雇われの身だと新卒の平均年収にも満たないため、収入面ではまだ課題があります。

 また、キャリアブレイク期間中は、先の見えない中で「いったい私は何になるんだろう?」と常に不安でしたが、すべて今の仕事に繋がっていると感じています。というのも、勤務先はほぼ個人事務所のようなところで、最初の1年は事務をメインに、時々カウンセリングをやらせてもらうという働き方なので、海外帯同中に得たバックオフィスの経験を非常に評価してもらえているからです。就職して約1年経過した現在は勤務日が増え、カウンセリング業務が事務を超えそうな勢いです。また、心理カウンセラーと掛け持ちで、精神科病院の児童・思春期病棟にて、保育士として子どもの心理的なケアもしています。


長期視点で、地道に、歩みを積み重ねる

ー今後のキャリアについて、今のお考えを教えて頂けますか。

 まずはカウンセリングや対人援助のスキルを磨き、幅広いケースに対応できる心理カウンセラーになりたいと思っています。勤務先には、DV、虐待、刑事事件、離婚、アルコール・薬物依存症など、世の中のあらゆる困りごとが持ち込まれてきますし、カウンセラーとの人間関係を築きにくい方もいます。ゆくゆくは国際支援やメンタルヘルスの情報発信などにも取り組みたいと思っていますが、5~10年は、なんでもこい!と言えるように地道に日々を積み重ねたいと思います。


ー気になるキャリアがあるものの、その道を進む勇気を持てない方へメッセージを頂けますか。

 新卒で就職した会社で2年も続かず、やっと大学院に進学したと思ったらコロナとキャリアブレイク…。大学を卒業してから、周りと同じようにうまく働けない焦りがずっと続いていました。30代も半ばに差し掛かりましたが、自分の興味を突き詰めていったら、潰れることなく楽しく働けている自分がいました。分にとって心地よいペースで進むことができた結果なのかな、と思います。当時は見えませんでしたが、振り返ってみると点と点が繋がっていく感覚があります。みなさんも迷った時には立ち止まって、ぜひご自身の過去や現在のリソースを掘り出し、興味を見つけてみてください。




ご希望のキャリア相談相手
  • X
  • Instagram

© 2024 by Kiro Career Japan. Powered and secured by Wix

bottom of page